101匹目のジャズ猿 yambow平井の岡山ジャズ回想録
学生時代からジャズやフージョン、ロックを聞いてきました。
今はストリームで聞きますが、当時はLPレコード。
少ない小遣いで次は何を買うか、音楽誌などのレコード評を読み比べて購入し、ドキドキしながら針を落としていました。
どのLPレコードにするかを決めるときに、当時ジャズ喫茶で流していた音楽が重要な手がかりになっていました。
ジャズ喫茶で実際に聞いたものなら、安心して購入できました。
70年代、岡山のジャズ喫茶といえば野田屋町の「シャイン」でした。
そして、レコードを買うのは「LPコーナー」というショップでした。
高校生のときにジャズに目覚めた平井康嗣さんは、その「シャイン」でアルバイトをし、「LPコーナー」に勤めます。
私が平井さんを見かけたのは「LPコーナー」の時代。
どれにするか迷ったときの購入の決め手は、平井さんの一言でした。
平井さんは、やがて岡山での音楽イベントの仕掛け人にもなり、市内の各施設に様々なミュージシャンを招聘します。
外国からもミュージシャンも連れてきます。
ギタリストのジムホールを車の助手席に乗せて津山まで走ったなど、有名ミュージシャンとのエピソードも満載です。
平井さんが招かなかったら、岡山の人が見ることのなかった演奏者がたくさんいたはずでしょう。
イベントの多い街には活気があります。
平井さんは、音楽を通じて岡山の街づくりに貢献した人でもありました。
70年代からの岡山の音楽シーンを知るには最適書。
ジャズを聴きながら、ゆっくり読み進めてみてください。
写真は「LPコーナー」で買ったデューク・ジョーダン「Flight To Denmark」
(2020.1.31 金澤健吾)
1970年代半ば、岡山市野田屋町に出現したジャズ喫茶「シャイン」。
この店に出会ったひとりの高校生は、ジャズに目覚め、いつしか「シャイン」でアルバイトをし、さらに伝説のレコード店「LPコーナー」に勤めようになり、以後岡山のジャズ、音楽シーンに欠かせない存在となる。
ジャズフォーラム岡山、岡山フリー・インプロヴィゼイション・クラブ、表町生活向上委員会などなど……岡山の音楽イベントの仕掛け人・平井康嗣氏の目を通して、70年代から今日に至る岡山のジャズ史を回想する。
平井氏の原稿を待望する人たちによって設立された刊行委員会のプロデュースによる労作。