お知らせ

吉備人は25周年を迎えました。

みなさまのおかげで、吉備人はこの春25周年を迎えました。

吉備人がスタートした1995年といえば、年明けに阪神淡路大震災が発生し、オウム真理教の一連の騒ぎのあった年です。
日本の歴史の一つの転換期の年だったという識者もいます。
そんななかで、本づくりの経験もない私たちが「自分たちが読みたい地域の本をつくろう」と、無謀な第一歩を踏み出したのです。
吉備人出版の名前で初めて出した本は、薬師寺慎一さんの『楯築遺跡と卑弥呼の鬼道』でした。
以後25年間で、717タイトルを刊行してきました。
印刷部数にして合計131万3354冊(重版含む)になります。
野球でいえば、びっくりするような大ホームランは残念ながらありません。
ただ、大きなけが(事故)もなく、息長く現役を続け、ボールに向かいコツコツと重ねた安打が717本。ごくたまに2塁打、3塁打を放つという地味なバッターのような実績です。

でも、地域をテーマに、地域の人と共に本をつくり続けてこられたことを、とてもうれしく、誇りに思います。

25年間続けてきて、あらためて思うことは、「出版」ではなくて「本づくり」を仕事としているということです。
「出版」が、本を企画してそれを販売(たくさん売って)して成り立つ仕事だとすれば、吉備人のそれは、本をつくらせてもらって地域に残すことです。
私たちが求めているのは、何万部も売れるようなベストセラーではなく、地域の人たちに必要とされているという実感です。
本を出したいと思う著者や本を買ってくださる読者から、高い信頼を寄せていただけることが誇りなのです。
売上げ以上にこの「信頼」「誇り」が吉備人を続けていく原動力です。
このことをエネルギーにもう少し走り続けようと思います。

世界中が新型コロナウイルス感染で、気が滅入るような毎日をおくっています。
25周年だからお祝いしようという気持ちにもなれず、静かに四半世紀をかみしめたいと思っています。

引き続きよろしくお願いします。

2020年4月

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