▼吉備考古ライブラリィ▼地域の歴史▼地域を知る
>>民話・むかしばなし
>>劇画・郷土の歴史
>>吉備人ブックス
▼吉備人選書▼時代を見つめるノンフィクション▼地域のくらしとともに
>>戦争・岡山空襲
▼教育▼子どもたちと一緒に▼健康・介護
▼ことばがひびく▼美術・工芸・芸術▼評論・小説・その他
▼デジタルコンテンツ▼私家版・他制作物


既刊紹介>>時代を見つめるノンフィクション

学校の木




●著者:「学校の木」編集委員会・編
  ●判型:A5判変型 並製本
●頁数:128ページ
●定価:1575円(本体1500円+税)
●ISBN4-86069-131-8 C0095 Y1500E

●内容
木はずっと見守り続けている、子どもたちが成長していく姿を…。
サクラ、ケヤキ、イチョウ、ソテツ……校門で、校庭で、運動場の片隅で。
学校の木は、幼い記憶のよりどころ。
懐かしい思い出と共に、木々の姿を思い出す人も多い。
本書は、岡山県内にある幼稚園から大学までの28校、30話の“学校の木”と“人”の物語を集め紹介したものです。
子どもたちが大事に守り育ててきた木、長い歴史に彩られた木、地域とともに親しまれてきた木…取材を通 して、学校の木にはさまざまな物語があることがわかりました。
そして欠かせない大切なものだということを改めて痛感しました。
学校の木はいつも私たちのこころに寄り添っていることを知ってほしい…そんな願いをこめてこの本をお届けします。

●著者プロフィル
「学校の木」編集委員会
今、学校に残されている木を、次世代に伝えていくことは、失われた自分自身を取り戻すことにほかならないのではないか。そんな思いで、“学校の木”と“人”の物語を書き記そうと、株式会社逸見緑地の呼びかけで、2005年から取材・編集を始めたライター、デザイナー、編集者と造園会社で構成する異色の編集委員会。
逸見浩昭(逸見緑地代表取締役社長)
杉本賢志(逸見緑地)
日下巧(日下デザイン事務所)
鈴木富美子(フリーライター)
平島智子(フリーライター)

●目次
1.昔、あの木の下で
二十二本の卒業記念樹 旧岡山市立犬島中学校
緑の雲海、ふたたび 岡山市立大井小学校
かくれんぼ 赤磐市立笹岡小学校
伝統を形にしたもの 岡山県立倉敷青陵高等学校
六十年ぶりの木陰で 岡山市立大宮小学校
次代へ、思いをたくして 岡山県立岡山操山高等学校
よき伝統を守りつつ 倉敷市立本荘小学校
あの頃も、今も 高梁市立落合小学校
戦禍をくぐりぬけて 岡山市立旭東小学校
2.木のある風景
桜の系譜 岡山県立岡山朝日高等学校
運動場の真ん中に立つ 井原市立芳井小学校
元気くん 瀬戸町立江西小学校
小さな手のひら 岡山大学附属幼稚園
クリスマスツリー 浅口市立鴨方西小学校
おばあちゃんの校歌 総社市立神在小学校
校長先生の落ち葉掃き 吉備中央町立吉川小学校
学校の宝 岡山市立可知小学校
菅原道真の足跡に咲く 玉野市立大崎小学校
小さな命を育んで 瀬戸町立江西小学校
古木とみどりの少年隊 新見市立本郷小学校
3.歴史を語る木
軍靴の傷跡 岡山大学
建学の精神を貫いて 興譲館高等学校
ダム湖に沈んだ歴史を受け継ぐ 鏡野町立奥津小学校
百年の老松 赤磐市立笹岡小学校
柳川の歴史とともに 旧岡山市立深柢小学校
繁栄をみた島で 笠岡市立神島外小学校
方谷お手植えの松 高梁市立高梁幼稚園
百年の伝統を、未来へ 岡山県立岡山御津高等学校
新しい歴史を 岡山市立中央小学校
ゆるぎなきもの 岡山大学資源生物科学研究所

●あとがきから
私たちは、樹齢の古い木を探して、歴史の古い学校をいくつも訪ねた。ここでは、岡山県内にある幼稚園から大学までのうち、二十八校、三十話の木を取り上げた。
生徒たちが大事に守り育ててきた木、いわれのある木、地域とともに親しまれてきた木、いろんな木があったが、取材を進めるうち、どうしてもある程度樹齢を重ねた木が中心になった。
しかし、短いサイクルで人が変わる学校では、語り継ぐ歴史も途切れがちになる。古そうな木であっても、それにまつわる話を探しあてられなかったものもあり、県内すべての学校の古い木を網羅できたとは言えない。収録した三十話は、学校関係者及び地域の方々の力添えによってめぐり合えたものであり、そのご理解とご協力に深く感謝する。
「昔は大きな木があったんですよ」。小学校では、地域のお年寄りから何度もそんな言葉を聞いた。一三〇年の間に、冒頭に記したような様々な理由で、学校の木々は姿を消してしまった。
 そんな中で、残された木を案内してくれた人々は、木とともに時を遡っているかのような眼差しで語ってくれた。長い歳月、何が変わっても、変わらずに生きてきた木は、ふと幼い頃にたちかえる道しるべになり得るのかもしれない。
今ここにいる私たちは、あと50年もすれば、たぶんこの世から姿を消すだろう。しかし、ここにある木は、50年、100年、200年、いやもっと長く生き続けるかもしれない。現に、今までこうして数百年の命を永らえてきた木もある。私たちの知らない過去、現在、そしてまだ見ぬ 未来に向かって、これからも木は静かにそこに立ち続けるだろう。
 本書に記された一話一話が、取り上げた学校の木と同じように愛で続けられ、語り継がれることを切に願う。