■書名:おかやまの炭焼き
■著者:立石憲利(たていし・のりとし)
■仕様:B5判、並製本、4色カバー巻
■ページ数:194頁(口絵カラー16頁、本文モノクロ178頁)
■定価:本体3,000円+税
■ISBN:978-4-86069-536-1 C0039
■発行日:2017年11月30日
■内容
日本の伝統工芸に欠かすことのできない炭。現在ではほとんど姿を消してしまい、しかも炭焼きについての調査、報告がほとんどなく、技術の継承も危うい状態である。
本書は、岡山県内の中山間地を訪ね、炭焼きについて調査、聞き書きしたものをまとめた貴重な報告書。
●あとがきから
「二〇一四年に伝統工芸木炭生産技術保存会が、刀鍛冶に使う松炭を焼いており、その調査報告書の作成を頼まれた。翌一五年も、炭窯造りの報告書を依頼された。詳しく炭焼きや炭窯造りを見たのは初めてのことだった。
そんななかで日本の伝統工芸に木炭は欠かすことができないと知らされた。日本刀は、鉄があり刀鍛冶がおればできるものではなかったのだ。刀の原料の鉄をつくるタタラ製鉄にも木炭が必要、刀の鍛造にも木炭がいる。つば(鐔)などの研磨にも木炭がいる…木炭なしには刀もできないのだと。
そんなことで、何か所か炭焼きについて聞き書きを行った。それらをまとめたのが本書である。」
■著者プロフィール
立石憲利(たていし・のりとし)
1938年、岡山県津山市で生まれる。長年にわたり民俗、民話の調査を続けている。採録した民話は約9000話。
民話の語りも行い、語り手養成のための「立石おじさんの語りの学校」を各地で開く。著書多数。
現在、日本民話の会会長、岡山民俗学会名誉理事長など。久留島武彦文化賞、岡山県文化賞、山陽新聞賞などを受賞。
岡山県総社市在住。
■目次
第一章 炭焼きの概観
一、江戸期に各地で良質炭生産/二、少ない炭焼きの調査報告
第二章 炭窯造り
一、はじめに/二、場所の選定/三、炭窯の設計図/四、L字ブロックの設置/五、土入れと突き固め/六、窯型を造る/七、炭材を立てる/八、焚き口/九、甲掛け/十、屋根工事/十一、初窯出し
第三章 黒炭を焼く
一、はじめに/二、炭窯三基で焼く/三、原木の伐採、運搬/四、木割り/五、窯に木を詰め込む/六、窯口作り/七、火入れ/八、炭出し/九、炭焼きの道具や機械/十、赤松の植林/十一、松炭焼きを支える組織
第四章 白炭を焼く
一、ホオノキ、アブラギリを焼く(笑楽窯)/二、白炭窯の築造(藤元窯)
第五章 久米南町の炭焼き
一、久米南町の全間炭/二、製炭の勘所/三、全間の榊原窯
第六章 鏡野町の炭焼き
一、羽出の炭焼き/二、上斎原赤和瀬の炭焼き/三、上斎原寺ヶ原の炭焼き/四、大での暮らしと炭焼き/五、奥津温泉「星の里」の炭窯
第七章 新見市菅生の炭焼き
一、菅生の炭焼きはタタラが始まり/二、石川県の三五〇俵窯/三、兵庫県や朝鮮からも
第八章 「製炭講習録」にみる炭焼き
第二編 木炭の鑑別法
第三編 製炭法
第一章 炭化法/第二章 築窯/第三章 製炭/第四章 岡山県奨励製炭窯築窯製炭法/第五章 炭化室容積計算法
第九章 炭焼き雑感
一、木炭生産のピークは戦争中/二、戦争中、多くの朝鮮人が炭焼きに/三、七十年以上炭焼きをした人/四、昔話の中の炭焼き
あとがき
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