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〈粘着〉の技術




■サブタイトル:カモ井加工紙の87年
■著者:「粘着」の技術編集委員会・編
■仕様:A5判 並製本 オールカラー
■頁数:141頁
■定価:本体1500円+税
■ISBN978-4-86069-253-7  C0095
■発行日:2010年5月5日

■内容
1923年(大正12年)、カモ井のハイトリ紙製造所として創業し、2010年に創業 87周年を迎えたカモ井加工紙株式会社は、ハイトリ紙からスタートし、和紙を使ったマスキングテープ、そして空前のヒット商品といわれるおしゃれな 「mt」を生みだしました。その「mt」は、2007年日本グッドデザイン賞を受賞し、今ヨーロッパでブームを巻き起こしつつあります。
「粘着」 の技術に特化した同社の歴史は、研究開発から商品づくり、営業、PR活動のいずれをとってもとても興味深いものがあります。。
本書では、創業から 今日までカモ井加工紙が「粘着」とともに歩んだ87年をたどりながら、ミヤコ蝶々や笑福亭鶴瓶を起用した斬新なテレビCM、ノスタルジックな雰囲気たっぷ りのポスター、ノベルティグッズなど、資料室にしまっておくにはもったいないユニークな広告デザインやパッケージも写真で紹介し、「問題解決型企業」全体 像に迫ります。

●目次
Part1 History  すべてはハイトリ紙から始まった  
… 1 ハエ取りではなく、ハ イトリ  
… 2 海外に目を向け、アジア市場を席巻  
… 3 ハイトリ紙の危機  
… 4 復活! カモ井の殺虫四大商品が ラインアップ  
… 5 和紙粘着テープの誕生  
… 6 リボンハイトリの輸出市場を取り戻せ  
… 7 カモ井の粘着新時代  
… 8 ヨーロッパが注目するエコ商品
 
Part2 People  人が会社をつくり、会社が人をつくる  
…  1 歴史をつなぐ経営者たち  
… 2 「程」の心  
… 3 タイカモイは泥棒会社?!  
… 4 受け継がれる安全哲学の DNA  
… 5 カモ井の新時代をつくる開発者
 
Part3 PR & Adds  資料室から見えてくる遊び心の遺伝子  
… 1 ミヤコ蝶々46歳、笑福亭鶴瓶26歳  
… 2 ネーミングは言葉遊び  
…  3 ねずみ男がネズミをキャッチ  
… 4 商品名を品番から愛称へ  
… 5 今年ももらえるKAMOIの龍(ドラ)ジャン
 
Part4 Technology  かたちを変え、進化を続ける粘着技術  
… 1 化学薬品ゼロの粘着力  
… 2 車 両塗装に医療用の絆創膏を代用  
… 3 よく付き、きれいにはがせるマスキングテープ  
… 4 天然ゴム系粘着剤と高速多層コーティ ング  
… 5 未来に向けた新商品と新素材
 
Part5 Challenge  マスキングテープの新たな挑戦  
…  1 きっかけは1通のメール、そして3人との出会い  
… 2 作業用品のマスキングテープから雑貨「mt」へ  
… 3 mt未来予 想図  
… mtギャラリー
 
Part6 Future  「革新の連続性」がカモ井のDNA  
… 代表取締役社 長・鴨井尚志 氏インタビュー  
… カモ井加工紙のあゆみ


■「はじめに」より
  子どものころに、こんな経験 はないだろうか。くっつける、はがす、またくっつける、またはがす。この単純な作業が楽しくて仕方ない。きれいにはがせたら、とにかくうれしい。大人に なってもこの感覚は残っているような気がする。
  日本最初の私立の西洋美術館といわれる岡山県倉敷市の大原美術館。そのミュージアムショップの一 角にカラフルなマスキングテープが置かれている。美術学生が使うような白いマスキングテープではなく、水玉やチェック柄、和柄など種類もたくさんあり、そ ばには「マスキングテープの本」まである。調べてみると、このマスキングテープ「mt」を日常的に使っている女性は多く、使い方のアイデアを公開するファ ンサイトもかなりの人気を集めている。
  こんなふうに書くと、どこかの文具メーカーが企画した商品のように思えるが、「mt」を作っているのは、 1923年(大正12年)に初代の鴨井利郎氏がカモ井のハイトリ紙製造所として創業し、日本はもとよりアジア諸国にカモ井のハイトリ紙を売り出した倉敷市 の企業、カモ井加工紙株式会社である。
  2010年に創業87周年を迎えたカモ井加工紙がハイトリ紙からスタートし、マスキングテープ「mt」に 至るまで「粘着」に特化した企業として数々の商品を生み出してきた歴史はとても興味深い。「国民の衛生環境を良くしたい」と研究開発されたハイトリ紙は、 家庭で見ることこそなくなったが、エコロジーの観点からヨーロッパなどで再び注目されているという。
  本書では、1923年から今日までカモ井加 工紙が「粘着」とともに歩んだ86年をたどりながら、ミヤコ蝶々や笑福亭鶴瓶を起用した当時では斬新なテレビCM、ノスタルジックな雰囲気たっぷりの宣伝 ポスターなど、資料室にしまっておくにはもったいないユニークな広告デザインやパッケージも写真で紹介したい。
  その87年の歩みからは、幾多の 苦境を乗り越え、大正、昭和、平成の時代を生き抜いたカモ井加工紙の、そして日本人のモノづくりの本質が見えてくるにちがいない。


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